社会人である今と、学生だった頃とを比べたときに、真っ先に気づく違いは友達の数です。
進級する度に友達が増えていた学生時代とは違い、社会人となってからは友人を増やすことは容易ではなくなります。
昔、仲が良かった友達も社会に出るにつれて、それぞれの環境や立場の違いから段々と疎遠になってしまうことも珍しくありません。
そんな状況とはいえ、友達を作ることに消極的になってはいませんか?
ふと感じた寂しさを、「仕方がない」と片づけてしまってはいませんか?
社会人になってから友達を作ることは、色々と困難な点もありますが、決して無駄にはなりません。
今回の記事では、社会で生活する中で友人を作るメリットと、その方法についてご紹介します。
社会人になると友達が減る原因
友達の増やし方を見ていく前に、まずは社会人になると友達が減ってしまう理由について考えてみましょう。
①会うことが難しくなる
冒頭でも少し触れたように、社会人になると人によって環境や立場に違いができてしまうことで、なかなか会えない状況が増えてしまいます。
長い間仲良くしていた友達でも、コンタクトを取らない期間が続いてしまうと、段々その友達を思い出す回数すら減ってしまうことでしょう。
今自分が所属している会社、あるいはコミュニティの中で生きていくために、友人関係を切り捨てるような結果になってしまう人は少なくありません。
②価値観が合わなくなる
円満な友人関係に重要なポイントはズバリ、価値観です。
自分が大切にしている価値観を馬鹿にしたり否定する相手と仲良くすることはできませんよね。
しかし、お互いを尊重し合っている間柄でも、価値観がすれ違ってしまうケースも存在します。
その代表的なケースが「結婚」です。
結婚し子供が産まれると、親の持つ時間はどうしても家庭が最優先となります。
友達が結婚した結果、疎遠になるというケースは珍しくありません。
そういったように、優先すべきものに違いが生じることで、積極的に顔を合わせようという気持ちになれなくなってしまうことがあるのです。
③友達になるまでのハードルが上がる
これは友達が減る原因というよりは、増やしづらくなる原因。
社会人として生きていく上でまず必要なのが『礼節』ですが、この礼節が友達を作ることのハードルを上げてしまいます。
礼節を重んじるとは、『相手との距離感を保つ』と表現することもできます。
初対面の人とは、互いに礼節を重んじるところから始まります。
しかし、そこから友達にまで関係を進めようと思ったとき、お互いの距離感をどう埋めていくかが非常に難しいのです。
初対面でも無邪気に仲良くできていた子供時代と違い、社会人ともなると、周囲を取り巻く人間関係は比べようもないほどに複雑化してしまっているのです。
社会人になっても友達をつくるメリット
一口に『友達』と言っても、その存在の持つ意味合いは社会人になると大きく変わってきます。
このことも学生時代と比べてみるとわかりやすいのですが、子供の頃の友人関係は、言い方を変えれば『強要された友人関係』と言えます。
子供の頃は、教室に収まった子供たち、つまり限定されたメンバーで仲良くすることが求められます。
これを否定するつもりは全くありませんが、『友達を選ぶ』という選択肢の有無が、社会人と学生の大きな違いであることは間違いありません。
これが一体何を意味するのか。
それは、自分にとって価値のある友達を選ぶことができるということです。
年齢差を超えて共通の価値観を持つ友達を作ることができ、自分にとってストレスにしかならない人と無理に友達になる必要もありません。
これは社会人ならではのメリットです。
また、価値観の違いによって友達と疎遠になってしまうことに触れましたが、一方で、価値観の違う友達を作る際には大きなメリットにもなります。
自分と違う価値観の友達と付き合うと、自分の見聞、見識を広めることができます。
知らなかったことを知り、自分では思いもよらない考え方に触れることで、自分の人生をさらに豊かにすることができるのです。
社会人の友達の作り方
ここからは、実際に社会人となってから友達を作るための具体的な方法と、抑えるべきポイントを説明していきます。
①あいさつは必ずする
友達を作るというよりは、社会人として当たり前のことです。
しかし、当たり前であるが故に、蔑ろにもできない要素でもあります。
人との関係を築いていく上で、コミュニケーションを取り始める瞬間は非常に重要な意味を持ちます。
人によっては、第一印象でその人と今後付き合っていくかどうか決める人もいます。
仲良くなりたい特定の人にだけ気をつければ良いという意見もあります。
確かに、人と仲良くなるテクニックの1つではありますが、率直に言ってオススメはしません。
誰から見てもわかる表裏は、神経質な程に使い方を考えないと、「信用してもらえない」など、とんでもない程の弊害を生み出してしまうかもしれません。
揺るぎない信頼関係を築いていくための最初のステップとして、誰にでも分け隔てなくあいさつをする習慣を身につけましょう。
②声をかけるときは自分から
「この人と友達になりたい」と思える人を見つけても、関係が生まれるのを待つだけでは友達になれる機会には恵まれません。
自分からアクションを起こすことは、人によっては大きなハードルとなりますが、それ故に得られる効果は明確で確実です。
話題やタイミングに迷うこともあるでしょうが、何よりもまずは声をかけることで、相手が自分を認識したという事実が重要です。
何も話すことが思いつかなければ、「おはようございます」と「よろしくお願いします」だけでもいいのです。
『全く知らない人』と『話したことがある人』とでは、雲泥の差。
1度話したことがあれば、また次に話しかけるときのハードルもグッと下がります。
この場合でも、①の『あいさつをする』が活きてくるでしょう。
③自分の情報を発信する
自分から声をかけることもそうですが、周りから声をかけてもらうきっかけを作っておくのも重要です。
つまり、自己開示と自己発信です。
自分の情報を誰かに見てもらうことができれば、共通点のある人や、自分自身に興味を持ってくれた人が話しかけてくれる機会が生まれやすいもの。
もし社報や人目に触れるコンテンツでプロフィールを載せることがあるならば、趣味や特技などで「この人と友達になりたい」と思ってもらえるようなことを書くようにしましょう。
あるいは、自分の趣味がわかるものを近くに置いておく、身につけておくといった工夫もいいですね!
好きな本や作品のグッズなどを、さりげなくデスクに置いておくと、同じようにそれが好きな人が結構な確率で話しかけてきます。
それを起点にして関係の構築を図ることで、自分から行動を起こすことなく共通の趣味を持つ人を発見できるのです。
注意すべき点は、やりすぎないことです。
溢れかえるほどにデスクをグッズだらけにしてしまうと、共通の趣味を持つ人を見つけた喜びよりも、ビジュアルに圧倒されるあまり引かれてしまう危険もあります。
あくまで「さりげなく」ということに気をつけましょう。
④SNSを活用する
共通の話題を持つ人を探すために、SNSを活用することは今時そう珍しくありません。
同じ趣味、職種、学校などをきっかけにSNSで知り合い、それが現実の付き合いにも波及するというケースが現代ではありふれています。
むしろ『友達』の定義を、現実世界だけに限定してしまうことは時代遅れと言えるかもしれません。
新たな技術が発展し世間の常識が変わっていくのと同じように、『どこからが友達か』という線引きも段々と変化してきています。
SNSで仲良くなった人も、友達だと心から思えるのならまぎれもなく友達です。
SNSで友達を作ることの最大のメリットは、普通なら出会えないような人たちと繋がることができる点にあります。
年齢や住んでいる場所を問わず、様々な個性を持つ人とやり取りを続けることで、自分の視野と世界を大きく広げることができるのです。
知らない世界を知り、異なる価値観と対面することは、人生における財産とすら言えるでしょう。
SNSは匿名性や個人情報のことを考えると、ある程度慎重になる必要がありますが、上手く使えばSNSは友達を作る上での強力な武器になります。
趣味の写真を発信したり、気になる話題に関する発言をしたりして、同じ楽しみを持つ人を探してみましょう。
持つべき心構え3つ
友達を作り、より良い人間関係を築いていくためには、各々が心得なければならないことがいくつかあります。
ここで紹介する心構えは、友達だけに留まらず、あらゆる人と関わっていく上でとても大切なことです。
今後の友人関係のためにも絶対に必要なことなので、ぜひ心に留めておいてください。
①基本的なスタンスは『Give and Take』
友達を選ぶ基準として、「自分にとって価値があるかどうか」という考え方がありますが、同じように自分が相手にとって価値があるかどうかも無視できない要素です。
一方的に与えられるだけの関係は、友達ではなく単に都合のいい関係以外の何物でもありません。
一方が一方に依存するのではなく、与えられたなら次は自分が返すという気持ちを大事にしてください。
逆に、自分が相手から一方的に利用されるようならば、今後の付き合い方も考えたほうがいいでしょう。
負担にしかならない関係、あえて冷たい言い方をするなら、自分にとってメリットのない関係があるのなら、その関係を終わらせる選択もできるのです。
与え、与えられる、「Give and Takeの精神」を忘れないようにしましょう。
②過度に干渉しない
「信頼できる=何でも話せる間柄だ」という考え方があります。
信頼関係の1つのあり方として、そういった形も確かに存在しますが、全ての人がそういった考えを持っているわけではありません。
誰にも触れられたくない領域はあるのです。
社会人となってからの友人関係で重要となるのが「距離感」です。
生活が多様化し、以前に比べて個性が尊重されるようになった現在でも、他人に私生活を打ち明けることに抵抗を持つ人というのは必ず存在します。
基本的なスタンスとしては、自分から聞き出すのではなく、相手が話してくれるのを待つようにしましょう。
一見するとドライな関係に思えるかもしれませんが、話したくないことを話さずに済むというのは、良好な関係を続けていくために必要な要素です。
焦って距離を縮めようとするよりも、長い目でゆっくりと信頼関係を築いていくようにしましょう。
③相手の価値観を受け入れる
子供の頃と違い、社会人の集まるコミュニティでは、それぞれの持つ価値観はある程度固まってしまっています。
全く違う価値観を持つ人同士で友達となる上で、何よりも重要となるのが、お互いの価値観を否定しないということです。
誰かが好きだと言っているものを否定しない、そして自分が好きなものをハッキリ好きだと言える関係が理想です。
友達でいるために無理して自分を変えるのではなく、ありのままの自分を認め合える友達となることを目指していきましょう。
相手に受け入れてもらえなかった場合
しかし、自分がそういう心構えをしていても、相手が自分を受け入れてくれない場合もあります。
そういったケースに対面したときには、すぐに諦めるのではなく自分の心構えが相手に伝わるかどうか待ってみましょう。
友達とは、良くも悪くもお互いに影響し合います。
相手が自分の心構えに触れることで、相手も『受け入れる』ということを知る可能性も大いにあり得ることです。
最終的に諦める必要も出てくるかもしれませんが、まずは『受け入れられないことを受け入れる』姿勢を少しの間でいいので持つようにしてみてください。
最後に
社会人としての生活が豊かであるか否かは、「友達」が大きな要素となります。
歳をとるにつれてそれまでの友達との関係が変化し、疎遠になってしまうことはある意味避けようのないことです。
逆に言えば、そういった状況においても変わらず友達でいられる関係は、断たれ難く、強固な絆で繋がっているとも言えます。
社会人となってからの友達は一生の友達となるというのは、ここに要因があります。
生活の変化がそもそもの前提として存在することが、許し合えることのきっかけとなるからです。
社会生活を営む中で形成された、外向きの人格を脱ぎ去る場として、友達は作ることに越したことはありません。
一人で過ごす時間も確かに良いものですが、誰かと同じ時間を共有することも素晴らしいものです。
今回の記事でご紹介したことを実践してみて、一人でもいいので友達と呼べる人を探してみてください。