自分を見つめ直すときに読んでほしい本4選

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自分の生き方を見つめ直すためには、自分の人生を客観的に見る力が必要です。第三者としての視点を得るという意味で、物語から教訓を得るのは非常に有用です。今回の記事では、自分の生き方を振り返るにあたって読んでほしい、筆者がオススメする4冊の文芸書をご紹介します。

読書は「人生の疑似体験」です。

物語にしろエッセイにしろ、本の中で描かれる人や出来事というものは、自分とは全く違う誰かの人生が描かれたものです。

そこから教訓や気づきを得ることは、自分の人生では得られることのないはずだった経験を得ることに等しいのです。

ふと立ち止まり、自分の歩んできた人生を振り返ったとき、この擬似的な経験があるかないかで、自分の人生が持つ意味は大きく変わってきます。

今回の記事では、自分の生き方を見つめ直すときに読んで欲しい本を、文芸書の中から選んでご紹介します。

普段文芸書を読まない方も、これを機に気になった本を手に取ってみてください。

本から生き方を参考にする際の注意点

4つの文芸書を紹介する前に、本から何かを得ようとする際に、気をつけていただきたいことをお伝えします。

「こんな本を読んでも意味がない」と決めつけない

「こんな本を読んでも意味がない」と決めつけない

よく「漫画は文学に劣る書物だ」と論じる方がいます。

たしかに、文学性という面では、感情の動きや微妙なニュアンスを文字だけで表現する文学の方が優れていることも多いでしょう。

しかし、それは漫画が「絵で伝える」という武器を持っているがゆえです。

この2つを比べることは、絵画と料理のどちらが優れているか決めるようなものでしょう。

本が持つ意味は、本の優劣で決まるのではなく、読んだその人が自発的に決めるのです。

身も蓋もない言い方になってしまいますが、「人それぞれ」なのです。

人と人とに相性があるように、人と本の間にも相性があります。

本を手に取る前から「この本から得られるものはない」と決めつけてしまうのは、もったいないことです。

一度手に取ったら全て読む必要があるわけではありませんが、自分にとって意味があるかどうかは、少し目を通してみてからでも遅くはありません

本に書いてあることを否定せず客観的に受け入れる

本に書いてあることを否定せず客観的に受け入れる

読んだ本に、自分にとって都合の悪いことが書いてあっても、それを否定せずに客観的に受け入れるようにしましょう。

例えば、熱血スポーツ少年が主人公の物語だと、斜に構えた不真面目な生徒は、ストーリーにおける「問題点」として扱われることがあります。

逆に、よく本を読んでいる物静かな少女が主人公の物語では、明るいクラスの中心人物が、主人公にとって障害のように描かれる場合もあります。

もし物語の中で、自分に身に覚えのあることが反面教師のように描かれていたとしても、そこに反感を持ってはいけません。

あくまで、客観的事実として一旦飲み込みましょう。

本で描かれる善悪や常識も、極端に言えば偏見の1つです。

しかし、それを偏見と論じて意に介さないこともまた偏見なのです。

自分と違う価値観を垣間見れることも、本を読む上で得られるメリットの1つです。

それは自分の生き方を見直す上で大きな力となります。

人生の視野を広げてくれる~『不思議な羅針盤(梨木香歩)』~

不思議な羅針盤 (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社 (2015-09-27)
売り上げランキング: 163,437

大人気作品「西の森の魔女が死んだ」の作者による、秀逸なエッセイ。

自分の視野を広く持つことで、人生が豊かになることを教えてくれます。

郷愁感と独特な空気に溢れた文章で読者の心を掴んで離さない著者が、普段どんな風に日常の景色を見ているのかが描かれます。

まるで物語の一部のような描写に、著者の非凡さが感じられます。
著者の日常は、筆者のような一般人にとって非日常のようです。

しかし、この作品を読み終えて自分の周りを見渡したとき、読者は気づくでしょう。

その非日常は、私たちの周りにもありふれているのです。

著者と私たちとで、見ているモノは同じはずなのに、どうしてこんなにも違った世界が見えるのか。

それは一重に、観察しているか否かの違いです。

普段なら気にとめないような些細な出来事を、著者は1つずつ観察し、思いを巡らせます。

結果、そこから多くの物語がうまれ、日常が非日常へと変貌しているのです。

ありふれた日常で何を思い、何を感じるのか。
いつもより少し視野を拡げるだけで、人生が豊かになっていきます。

それを教えてくれる1冊です。

不思議な羅針盤

人生において大事なものを教えてくれる~『レ・ミゼラブル(V.ユゴー)』~

レ・ミゼラブル(一)(新潮文庫)
新潮社 (2016-04-29)
売り上げランキング: 118,945

現代に至るまで数多くの舞台や映像化がされてきた、フランスを代表する名作です。

日本では「あゝ無情」のタイトルで流行しました。

知らず知らずの内に、私たちが「貧しい人々」になってしまってはいないか。

そう問いかけられる作品です。

少年時代にパンを盗んだ罪で投獄された主人公「ジャン・バルジャン」が、数々の苦難を経て、正義とは何なのかを問い続けるヒューマンドラマです。

ジャン・バルジャンは、刑期を終えた後も犯罪者の烙印を押されたまま貧しい生活を余儀なくされます。

明日は我が身の生活を送る中、飢えに耐えられず教会に盗みに入った彼は、1人の神父と出会います。

神父は全てを知った上でジャン・バルジャンを許しました。

その広い心に心を打たれたジャン・バルジャンは、人のために生きることを決意し、犯罪者の身分を隠して立派に市長を務めることになります。

しかし、そんな人生にもやがて影が落ち──

レ・ミゼラブルとは、日本語で「貧しい人々」という意味を指します。

貧困に苦しみ、悪事に手を染める人々が蔓延する中、自分はどれだけ正しく生きることができるのか。

ジャン・バルジャンの葛藤や苦悩は、現代に生きる私たちにも丸々当てはまります。

何をするにもお金が必要な社会、利益ばかりを求める人々、そんな中でどれだけ他人を思いやれるのか。

理想論と断じることは簡単ですが、理想のない生き方にどれだけの価値があるのでしょうか。

レ・ミゼラブル

身近な人の大切さを教えてくれる ~『光のお父さん(マイディ)』~

ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん
マイディー
講談社
売り上げランキング: 82,473

現在でも高い人気を誇るオンラインゲーム「ファイナルファンタジー14(以下FF14)」を舞台に繰り広げられる、ノンフィクションハートフルストーリーです。

元々プレイヤーの著者が連載していたブログ記事を書籍化した本作。ドラマ化もされて多くの注目を集めていました。

家族や友達といった、当たり前になってしまいがちなものの大切さを、改めて考えさせてくれるような作品です。

幼少期から国民的RPG、ファイナルファンタジーシリーズを愛してやまなかった著者マイディが、疎遠になった父へ親孝行をするために、とある計画を立案します。

それは、「仕事を辞めた父への退職祝いとしてPS4とFF14をプレゼントし、正体を隠したままゲーム内で父に接触。そして当時最大の難易度を誇っていたダンジョンを共にクリアしたとき、自分が息子であることを明かす」という壮大な計画です。

普通のゲームとオンラインゲームとの一番の違いは、周りにいるキャラクターも生身の人間が操っている点にあります。

つまり、ゲームの中とは言えど、そこで交わされる言葉や繋がりは、実際に人と人とで作り上げていくものなのです。

著者の「マイディ」という名前は、著者がFF14の中で使ってるキャラクターネームです。

この作品の中でも、著者はマイディとしてゲームの中の友人と協力しながら父をサポートしていきます。

その姿が微笑ましく、つい応援してしまいます。

「家族、友達、努力、勝利」ありきたりですが、忘れてしまいがちな大切なことを思い出させてくれる素敵な1作です。

光のお父さん

愛のある人生にしたいあなたへ ~『ある愛の詩(新堂冬樹)』~

ある愛の詩 (角川文庫)
ある愛の詩 (角川文庫)

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新堂 冬樹
角川書店
売り上げランキング: 332,864

純粋なハートフル小説と、陰謀渦巻くサスペンス小説。
両極端な物語を自在に操る著者による、恋愛小説の傑作です。

恋愛モノの中でも、当作は自己犠牲の精神が極めて色濃く描かれています。

全ての願望を投げ打ってでも尽くしたい誰かがいるのか、そもそも全てを投げ打てるのか。

「人とはこうあるべきだ」という理想の形が描かれています。

小笠原の地で、俗世を知らないままイルカのテティスと共に生きてきた拓海と、歌手を志す大学生の流歌が出会います。

互いに惹かれ合う二人でしたが…

ここまで聞くとステレオタイプな恋愛ドラマに見えます。

しかし、ここから進んでいく物語はあまりに切なく、あまりに哀しいものです。

主人公の拓海は、生まれ持つ穏やかな性格と大切なものを見抜く明によって、ただひたすら流歌の幸せだけを願って行動します。

時には、自ら身を引く決断すらいといません。
それはただひたすらに、「彼女の笑顔が見たいから」。

普段恋愛小説を読まない方でも、イルカの表紙に惹かれて購入してみると、涙なしに読むことはできないでしょう。

ある愛の詩

最後に

最後に

今回ご紹介した本は、ジャンルも世代も様々です。

冒頭で述べた通り、それぞれの本で合う人と合わない人がいることがあります。

つまり裏を返せば、どんな本からも何かを得ることは可能であるということです。

繰り返しになりますが、生き方を見つめ直すためには、自分の人生を客観的に見ることが必要です。

それは言わば、物語の主人公を見る読者の視点です。
その視点は、これからの未来をより良いものにしていく上で、非常に大きな力になります。

自己啓発とは、本来他者から与えられるものではなく、自分から得ようとするものです。

英語では「serendipity」とも言いますが、今回の記事で自己啓発本ではなく、文芸書から生き方を振り返ったように、一見関係のない多くの物事に、人生のヒントは隠されているのです。

もしご紹介した本の中に、気になるものがあったならばぜひ手に取ってみてください。

そこで見つけた何かしらが、あなたにとっての力になるはずです。