やりたいことを挙げればキリがないのに、いざ仕事が終わると一向に意欲が湧いてこない。
そう思ってしまうことには必ず明確な原因があります。
しかし、改善することは難しいと諦めてしまってはいませんか?
無気力に原因が必ず存在するのと同じように、無気力に対処するための方法も必ず存在します。
そして、その対処法は想像するよりもずっと簡単なことでもあるのです。
今回は、仕事終わりの怠惰な時間を良質なものにするための習慣をご紹介します。
なぜ帰宅後に無気力になってしまうのか
まずは、仕事終わりの無気力が引き起こされる原因について考えていきましょう。
労働という行為は、大なり小なりストレス(負荷)を伴います。
心身は終業までそのストレスを抱え続けることになるわけですが、仕事が終わったことによって『やらなければならない』という心理状態から脱することになります。
つまり、ストレスから解放されたことへの充足と安心感から、人の脳は副交感神経が刺激され、非常にリラックスした状態になるのです。
実は、このリラックスした状態が、行動するための意欲を削いでしまっている原因の一つなります。
もう少し詳しく説明すると、リラックスした状態とは副交感神経が交換神経よりも優位になっていることを示しています。
より効果的な休息をとるために交感神経を静める方法が広く提唱されていますが、この交感神経こそが、アドレナリンをはじめとする意欲を湧き起こすために必要不可欠な脳内分泌物を管理しているのです。
そして交感神経を刺激するために必要となるのが、ストレスなのです。
つまるところ、仕事を終えて気を抜いた状態となってしまうと、次に行動を起こすための意欲も消沈してしまいます。
「今日も頑張ったなぁ」と、終わりを意識してしまうことが、仕事終わりの無気力の最大の原因なのです。
無気力を解決するには
その無気力を解決するにあたって、抑えるべきポイントがあります。
そのポイントとは、帰宅後のルーティーンを身体に覚えさせること。
『やるべきことが終わった』という実感が、帰宅後の意欲を吹き飛ばしてしまうなら、『帰宅後にも何かしらすることがある』ということを体に覚えさせることで、意欲を持続させることできるのです。
そもそも、何かをすることを億劫だと思ってしまうのは、行動を決定する度にエネルギーを消費していることが原因。
新しい試み、「いつかやろう」と思っていたタスク、仕事終わりの予定などを億劫だと思ってしまう理由は、大抵がここにあります。
『重い腰をあげる』という言葉があるように、何かをする上で一番のネックとなるのは動の起点、つまりスタートの段階です。
何か行動をスタートさせるには、「意思の力」が必要になります。
裏を返せば、行動の起点に「意志の力」が必要ならば、次の行動に移るまでに意志を介在させないことで、帰宅後のダラダラとした時間はなくすことができます。
要するに、考えるよりも先に体が動く習慣をつけさせるのです。
しかし、一口で『体に覚えさせる』と言っても、ある程度の努力と忍耐力が必要。
仕事終わりにスイッチが切れてしまうことは、生活上の本能に近い部分があるので、一朝一夕にどうなるものでもありません。
仕事が終わってから何かをやるまで習慣づけるためには、習慣づくまで辛抱強く『やり続ける意思』が必要不可欠なのです。
思い立った最初の日だけ何かをすることはある程度成功しやすいと言えますが、それを習慣になるまで何日もの間続けるとなると、なかなか難しいもの。
「今日はいいか。明日やろう」と思ってしまったなら、いよいよ危ういです。
初心を忘れず努力を継続し、意識せずとも帰宅後のルーティンに移れるようになりましょう。
仕事終わりの時間を上質に変える10の習慣
では、仕事終わりの無気力を解消するための、身につけるべき10の習慣についてご紹介します。
①帰宅後にやりたいことを書き出して貼り出す
帰宅後にやりたいことの先延ばしを避ける上で、まず解消しておきたい問題は、本当にやりたいことを忘れてしまうことです。
帰宅後にリラックスして過ごし、さあ寝ようというときになって「あれをするつもりだった」と思い出すなんてケースは、実はよくあります。
そうならないために、やりたいことを書き出して自分の目につく場所に貼りつけることで、次の行動を意識することになります。
オススメは普段使うデスクや、自宅の玄関に入ってすぐ目の前など。
『忘れない』というだけで、帰宅後の時間が有意義になることも十分にありえます。
簡単に済ませられるなら、それに越したことはないので、一度試してみてください。
②睡眠を十分にとる
ここまで無気力を取り上げてきましたが、そもそも体力が残っていない状態では、帰宅後の時間が怠惰になってしまうのは致し方がありません。
起きている間に、十分なパフォーマンスを発揮するためにも、睡眠不足は極力解消するようにしましょう。
体が疲れを訴えていても、何となく時間がもったいない気がしてダラダラ過ごしてしまい、結果として睡眠時間を削ってしまうことはよくあるケース。
そうならないために、疲れているときは、明日の気力を確保するために早々に就寝してしまうことをオススメします。
③規則正しい食事をとる
睡眠と同じく、その日に十分な気力を得るためには食事も非常に重要となります。
栄養が不足し、疲労が蓄積してしまうと、病気やウィルスに対する抵抗力も低下してしまいます。
時間を確保するために食事を軽視するのは、本末転倒。
体調不良によって生じる時間のロスは、日頃の注意で避けることができる故に、怠惰を通り越して無駄とすら言えます。
良質な時間を過ごすためには、健康であることが必要不可欠。
規則正しく、栄養バランスを考慮した食事を摂るように心がけましょう。
④帰宅後までを計算に入れたスケジュールを組む
「行動を始めるとき」が重要な要素であると言いましたね。
この「行動のスタート地点」にスムーズに移るためには、事前にスケジュールを組み立てておくことが大切です。
スケジュールというのは、次の行動のスタート地点に移るまでの段取りのこと。
例えば、仕事が終わったあとに「さて、なにをしようか」と考えるのではなく、あらかじめ
と決めておくだけで、次の行動に移るまでの時間も、実際に行動するために要するに労力も減らすことができます。
趣味などの自分の好きなことに時間を充てることに決めていれば、仕事におけるパフォーマンスにも良い影響を与えることが期待できます。
簡単なことですが、侮れないことなので、一度は実践してみましょう。
⑤SNSを活用する
自由な時間におけるモチベーションを維持するために、SNSは非常に役立ちます。
自分のしていることを第三者に発信することは、共通の話題を持つ知人ができたり、評価されることで承認欲求が満たされたりと、継続して時間の使い方を管理するための潤滑油となるのです。
承認欲求を満たす行為は悪とされるような風潮がありますが、承認欲求そのものを否定するような構え方はあまりにナンセンス。
SNSも、自分の承認欲求も、使い方次第。
結果的にそれが良質な時間を過ごすことに繋がるのなら、それを利用することに躊躇する必要はないのです。
便利なものがあるなら遠慮なく使っていきましょう。
⑥日記をつける
SNSが外に発信するためのツールなら、日記は内(自分)に向けて発信するための手段。
ノートに書くもよし、携帯でメモをとるもよし。
例えば「仕事終わりに、家の掃除をした」など、仕事が終わって自分が何もしたのか、一言だけでもいいので書き留めていきましょう。
帰宅後の過ごし方を文字にすることで、時間を有意義に使えたということを再認識することができます。
行動できたことに対する達成感に加え、それを文字にすることで改めて「やったこと」を実感でき、二重の達成感を得ることができるのです。
逆に現状の過ごし方の問題点や改善案を思いつくためのきっかけにもなるので、頑張って継続しましょう!
⑦帰宅後を読書に充てる
「有意義に時間を過ごしたいけど、具体的に何をするか思いつかない」という人には、ぜひとも読書がオススメ。
一口で本と言っても、そのジャンルは多岐にわたります。
小説、ビジネス書、自己啓発に専門学書など、何かしら自分の琴線に触れるものは必ず存在するはずです。
そういった中から選んだ本の知識は、必ず読んだ本人の力となります。
誰かの知識や世界観を、本を通して知ることで、自分自身の視野を広げることもできます。
活字が苦手だと思っている人でも、「この本は読めた」というものがあるはずなので、まずは一冊手にとってみましょう。
⑧帰宅後を運動に充てる
仕事で疲れたから運動するための元気がないという考え方は大きな間違いです。
肉体労働系の仕事に就いている方はこの限りではありませんが、基本的に仕事で蓄積されて疲労と、運動で生じる疲労は全く別のものなのです。
適度な運動は、体の血行を良くし、体への負荷を回復させようとする働きから、むしろ体力の回復と健康へと繋がります。
時間を有意義に使える上に、健康にもなれる。正に一石二鳥です。
⑨安易に座らない
帰宅してから次の行動に移るまでで、一番障害となるのが『座る』という行為。
「歳をとると一度座ったら起き上がれなくなる」ということがよく言われていますが、それもそのはずです。
それは、何か行動を始めるときに必要な「意志の力」に加えて、起き上がるという「体力」も必要とするから。
この場合の労力は体+心ではなく、体×心なのです。
疲れて果ててどうしようもないときは素直に休むべきですが、気力がまだあるならば、できるだけ早急に次の行動をとるようにしましょう。
「少しだけ」と思った小休憩が原因で一日を棒に振ることがあります。気をつけてください。
⑩仕事で気力を使い果たさない
どれだけ念入りなスケジュールを組もうとも、終業までのペース配分を誤ってしまっては元も子もありません。
仕事に全力で打ち込む姿勢は素晴らしいですが、それが原因で、自分のために使う気力まで底を尽きてしまうようなら、仕事で使う気力をセーブさせることも検討するべきでしょう。
ポイントとしては、『このあと』を常に意識すること。
「仕事を終わらせる」ということだけが念頭にある状態だと、仕事を終わる頃には精根尽き果てていることでしょう。
しかし、仕事の後に自分が行うことを意識していれば、自然と余力を残すようなペース配分をとるようになります。
頑張り過ぎないことを頑張ることも時には重要です。
最後に
何かをしたいという願望と無気力は、相反することであるにも関わらず、同時に抱えることは誰にでも起こり得ます。
そういった中で工夫を凝らし、怠惰な時間を改善を試みる姿勢は素晴らしいこと。
今回の記事で何度も述べたように、重要となるのは「行動の起点=はじめるとき。」
この一点をいかに効率的に乗り越えるかで、帰宅後の時間の質は大きく左右されます。
定めた方法が習慣となるまでは、たくさんの苦労や葛藤と戦っていくことになるでしょう。
しかし、そういった苦労は巡り巡って必ず自分の力になります。
諦めず自分にあった形で有意義な時間を過ごせるようになりましょう。