日常で感じる、モヤモヤとした感情。
モヤモヤの正体を一言で「ストレス」と言ってしまえば、それまでですが、「ストレス」の中には感情や出来事など、たくさんのマイナス要素が積み重なっていて、ストレスの正体事態は分かりづらいもの。
しかし、実はモヤモヤやストレスの正体は、紙に書き出すことで、明らかにすることができるのです。
感情を紙に書き出して外に吐き出し、ストレスの原因を把握して心の整理をしてみましょう。
今回は思考や感情、理想の姿を紙に書き出す効果と方法をご紹介します。
心の中を整理して自分と向き合い、ストレスに強くなりましょう。
<書き出すことの効果>モヤモヤは紙に書き出そう
頭の中で考えたり悩んだりしていることは目には見えないので、積もり積もってモヤモヤとしてきますよね。
さらに、思考や感情は毎日止まることなく溢れ出てきますので、頭の中で考えすぎたり整理できなくなり、悩みの本質を把握できなくなります。
そうなると、ストレスがたまり、行き詰まってしまうことも。
なので、その日の感情を、その日のうちに書き出してしまいましょう。書き出すことで、頭の中が整理されてストレスが激減します。
家の棚や引き出しを整理するときは、いるものも、いらないものも出してから整頓します。いらないものを捨てて、引き出しの中が整うとスッキリとしますよね。
頭の中に積もっている感情を書き出すのも同じこと。
書き出して頭の中にためていることを明確にしたら、スッキリとするのです。
では、思考や感情を書き出すことには、具体的にどのような効果があるのでしょうか。
モヤモヤや悩み、ストレスなどを書き出す効果
「こころのライティング―書いていやす回復ワークブック」の著者のジェームズ・W. ペネベーカー教授は、感情を書き出すことでストレス指数が改善することを証明しました。
ペネベーカー教授の実験では、数人のグループを2つに分けて、1つのグループには毎日20分づつその日の出来事を感じたまま感情的に書かせ、もう一方には朝起きて顔を洗うなど日常的なことだけを3日間書いてもらいました。
その結果、感情をそのまま書いたグループにおいては、
・ポジティブ思考になった
・ストレスレベルが下がった
・健康状態が良くなり、免疫力が上がった
などの効果が検証されたといいます。
さらに、感情をそのまま書いたグループは、幸福度の高まりが数か月間続いたそうです。
理想の姿ややりたいことなどを書き出すことの効果
理想の姿ややりたいことなどを書き出すという行為は、脳幹の網様体賦活系と呼ばれるところにある細胞を刺激して、大脳皮質に「実行しろ」という信号を送っています。
それにより、脳は自己に深く認識させようと活動するのです。
数々の心理学の実験でも、理想の姿ややりたいことを毎日書くことで、やりたかった仕事につくことができたり、自分に自信がついてくるという効果が実証されています。
その他にも、
・自分自身の理想を立てる力を向上させる
・自分の心理状態を客観的に理解し、メンタルのバランスをとる
といった効果が検証されています。
さらに、書くことで自分の改善すべき点を把握することができ、どうすれば理想の姿に近くことができるかが分かり、それまで漠然としていた理想が明確になるのです。
マイナス感情を書き出す方法【ストレス対策】
モヤモヤとした感情は、文字通り頭の中で煙に包まれたようにモヤモヤと漂っています。
ですから、いらないものを吐き出すように紙に書き出して、心の中を整理しましょう。
書き出す時間は、頭の中が整理されるまでの20分が1番良いとされていますが、心の中の感情を書き出してストレスを発散させるのが目的ですので、毎日続けられるように1日10分でも効果は十分にあります。
マイナス感情を書き出す準備
マイナス感情を書き出すために重要なのは、「自分の感情をとにかく書き出すこと」です。
そのためには、まず感情をぶつけるためのノートを準備しましょう。
怒りの感情を書き出すときと、悲しみの感情を書き出すときは、字の大きさも力の度合いも違ってきますので、好きなように書けるように、ノートに線が引かれていない「無地のノート」を準備することをおすすめします。
マイナス感情を書き出す最大の目的は、ストレスを減らすこと。
そのためにも、下記のポイントを抑えて書いていきましょう。
・思ったことや事実を思いつくままに書く
・書き出す時間は10分以上を目安にする
・誤字脱字、字の大きさなどを気にせずに書く
・そのときの感情を、決められた時間ずっと書き続ける
・テレビや音楽をつけないで、プライベートの空間を確保する
このように、誰にも邪魔されず、心のままに書ける環境を整えることが大切です。
マイナス感情を書き出す手順
まずは、その日の感情を思いつくままに書き出します。
怒りをためているときは、ノートの真ん中に「ムカつく!」「大嫌い!」などと大きく書いても構いません。
そこから空いているスペースに、心の中から湧き出てくるままの言葉や、言えなかったこと、怒りの度合いなどを書いていきます。
1ページびっしりと書き続けても書き足りないのなら、次のページでも遠慮なく書き続けましょう。
感情が全て書き出されると、気持ちがスッキリと落ち着いてきます。
ネガティブな感情を書き出したいときも、同じように好きなところから書いてみましょう。
「どうして自分だけ」「どうしていつもこうなのだろう」など、ネガティブな感情をとにかく書き続けていきます。
時には、「やりたくない、やりたくない」など、1つの言葉しか出てこないこともあるかもしれませんが、気にせず同じ言葉を気が済むまで書き続けていきましょう。
1つポイントとして抑えておきたいのが、書き出したものを数日後に見直してみること。
「こんなことで悩んでいたんだ」と、悩みの大きさが実はそんなに大したことではないことに気がついたり、次の解決策を見出すきっかけになったりしますので、余計なことでストレスをためない強い精神になっていきますよ。
アイディアを書き出す方法【思考の整理】
理想の姿ややりたいことが頭の中ではたくさんひらめくのに、思考の整理ができていないと、やりたいことの本質が見えなくなってしまいます。
ここでは、アイディアを書き出す方法をご紹介します。
アイディアを書き出す準備
まずは、大切なアイデアを書き出していくノート選びをしましょう。
アイデアは、理想の姿ややりたいことが明確になるように、後で見返してもわかりやすく読めるように、線が入ったノートがおすすめ。
理想の自分をまとめるためのノートですので、少し高級感のあるものや、ポジティブになりやすい明るいデザインのものを選ぶのもいいでしょう。
書き出す時間は、20分程度が目安ですが、それより短くなっても長くなっても構いません。
アイディアを書き出す手順
アイデアを書き出す最大の目的は、「理想の姿ややりたいことを整理して明確にすること」。
そのためには、「マイナス感情を書き出す方法」でお伝えしたポイントに注意して書いた後に、書いたアイデアに答えを見出していきましょう。
・自分を客観的に見て、今の状態はどうなのか?
・やりたいことをするためには、何をすればいいか?
このような観点から、すぐに思いつくものを書き出してみてください。
たとえば、書き出したアイデアが、「自信を持って堂々とプレゼンテーションに挑む」だとします。
【自分を客観的に見て、今の状態はどうなのか】
【やりたいことをするために、何をすればいいか】
「企画をもう少し理論的に整理して、伝えたいことを明確にする」
「練習をしている自分をビデオに撮って、客観的に自分を見てみる」
【今の自分に必要なものは何か】
頭の中で考えるだけでは、どのようにしたらいいか見えなかったことが、ノートに書くことにより思考の整理ができて、何をしたらいいのかが明確になるのです。
最後に:自由になる
モヤモヤとした感情を書き出して、ストレスを減少させる。
頭の中が整理されてスッキリしそうですね。
しかし、いざ頭の中にあるものを素直に書き出そうとすると、躊躇してしまう人もいるでしょう。
「素直に思ったまま書く」一見簡単そうな行為ですが、マイナス感情を書き出すのは、なかなか勇気がいるもの。
なぜなら、心の中で「マイナス感情は表に出してはいけないものだ」と記憶されているからです。
「あの人さえいなければ」「不幸になればいいのに」などと考えてしまう自分が嫌になったり、良くないことを思って、後で自分に不幸がふりかかってこないかなど、理性が邪魔してしまうこともあるでしょう。
しかし、本当のところは、理性があるからこそ言いたいことを心の中にため続け、我慢してきたからストレスになってしまったのです。
心の整理をしてマイナス感情を吐き出してしまわないと、モヤモヤがたまりすぎて爆発してしまい、大事なときに理性を失ってしまうこともあるかもしれません。
ですので、ストレスをためないためにも、せめて1人の時間、自分だけのためのノートには、素直に思うまま言葉を書き出してみましょう。
ノートに書き出して心の整理ができてくると、ストレスも減少しますし、普段の生活で理性を失うこともありません。
マイナス感情をコントロールできるようになると、理想やなりたい自分が見えてきます。
そのときもまた、ノートに書き出して、理想の自分になるためにやりたいことを整理してみましょう。
この先何年も何十年も、あなた自身が自由で素直になれるノートが、いつもあなたの側にいてくれるなんて、とても素敵なことですよね。