「仕事でメールを返信しなきゃいけないのに、なかなか終わらない。気がついたらネットで全然関係のないページを見ていた…気が散って仕事に集中できない!」
このような状況から脱却し、有意義でメリハリのある生活や仕事の習慣を身につけませんか?
そのためにとても効果のある方法として、「ルーティン化」があります。
有名人も積極的に取り入れて実践しているルーティン。
あなたも生活や仕事に取り入れて、人生を「ダラダラ」から「テキパキ」に変えましょう!
ルーティン化とは
「ルーティン(routine)」とは、「あらかじめ手順が決められた仕事や日課」という意味で、「慣例」や「機械的」という意味合いも含まれます。
あらかじめ決められていて習慣的・機械的に行う動作なので、あまり深く意識せずに日々の中でその動作を行います。そしてその動作に対して一定の成果や効果が得られます。
ルーティンの成功例
ルーティンによる一連の動作はスポーツの場面で多く見られます。
野球ではイチロー選手がバッターボックスでバットをピンと立てるポーズが有名ですが、前田健太投手は試合前に欠かさず行う「マエケン体操(マエケンダンス)」のほか、20以上を数えるルーティンを持っています。
これらのルーティンを行うことで験担ぎや不安の払しょく、けがの防止などのセルフケアに役立て、大きなけがもなく成績を残し続けています。
スポーツ以外での場面では、オバマ前大統領のルーティンも有名です。
「起床後の運動」「娘たちと夕食」「家族が寝た後に行う仕事」は日々のルーティンとして欠かさず行っています。
これらをルーティン化することで、忙しい日々の中でも自分の時間をきっちりと確保し、集中できる時間に効率よく仕事をし、メリハリのある生活スタイルを維持し続けています。
なにげなく取り入れられているルーティン
このような有名人の例以外でも、わたしたちは普段からなにげなくルーティンの動作を行っているシーンがあります。
お風呂では最初に体を洗い、次に顔を洗い、髪を洗うというルーティンがあります。
また、体を洗うときも右腕から洗い始め、左脚で洗い終わるというルーティンがあります。
靴を履くときは決まって右足から履く、というのもルーティンです。
いつもは右足から靴を履くのに左足から履いてしまったときは、動きがぎこちなくなってしまうこともあるでしょう。
このようにいつの間にかルーティンとして定着している一方で、この一連の動作が変わってしまうとなんだか違和感をおぼえるという経験もあるのではないでしょうか。
ルーティン化が大切な理由とその効果
では、ルーティン化をすることによって得られる効果にはどのようなものがあるでしょうか。
楽に取り組め、行動に集中できる
ルーティン化された行動はあらかじめ決められたものですので、その行動をする際に何をするか毎回のように決める必要がなく、楽に取り組めます。
ですので、行動そのものに集中でき、行動の内容を決める時間が減り、行動時間も短縮化にもつながり、新たな時間を確保できます。
考えたり迷うことによるストレスを減らす
ルーティンに従って行動すると、考えたり決断をすることに脳を使わないので、ほかのタスクに脳のエネルギーを回せます。
先ほど紹介したオバマ大統領はグレーもしくはブルーのスーツしか着用をしません。これもルーティン化されたものです。
このようにルーティンとしてあらかじめ決められていれば、そこで迷ったり決断をする時間やストレスが生じず、ほかの大事な仕事や決断のために使う脳のエネルギーを確保できます。
また、プロゴルファーのタイガー・ウッズも練習の中にルーティンを取り入れており、練習の時間やそこで行うパットやショットの内容・回数も決まっています。
そうすることで途中で「次は何を練習しようかな」と止まってしまったり、それによる余計な思考が生まれることがなくスムーズに練習が行えます。
もし練習のたびにその内容を変えているようなスタイルですと、プレーの結果がいつもより良くないと「もしかして今日はパットの練習回数を減らしたのが原因かも…」と心の迷いが生じ、その思考がプレーに悪影響し、次回の練習でまた迷いながら取り組むという悪循環に陥ります。
そうならないように練習内容をルーティン化することで、プレー前にじたばたせず「これさえやっておけばいい!」と取り組め、自信や落ち着きにつながります。
習慣化できる
ルーティン化をすれば、習慣として定着します。
もし、「毎日運動する時間を設けたい」とか「毎日本を読みたい」という習慣を持ちたいという場合は、あらかじめそれを行う時間や手順を決めてルーティン化すれば、毎回何も考えずに楽に行動に移すことができて続けやすいようになります。そうしているうちに、習慣として定着します。
気分の切り換えに役立つ
心の準備や気持ちの切り換えのための行動としても、ルーティンが役に立ちます。
「ちょっとうまくいかないことが続くなぁ」と気分が沈んでいるときに、その気分から抜け出せるルーティンを用意しておけば、簡単に取り組めて気分も変えられますよね。
先ほど紹介した前田健太投手の場合、勝利から遠ざかっているときは粗塩を体に塗るそうです。
また、「褒められてうれしいけど、ドキドキしすぎて作業に集中できない!」といった状況では、高ぶった気持ちを抑えるルーティンがあると良いでしょう。
たとえば、目を閉じて胸に手を当てて深呼吸を3回しながら、落ち着いて作業をしている自分がイメージできたら目を開けて作業を再開する(イメージができないときはもう一度繰り返す)といったものです。
このような方法以外にも、体の特定の部分に手を当ててその感触に集中したり、軽く歩いたりするなど、「こうすれば気持ちが切り替えられる」というルーティンをあらかじめ用意しておくと、簡単に気持ちの切り換えができます。
ルーティン化の方法
わたしたちが普段行っているルーティンとして、入浴時や靴を履くときを例に挙げましたが、これは特に大きな意味を持つものではなく、自然とそのようになったものです。
今回は、人生においてより有意義なルーティンを仕事や生活の中に取り入れる方法を紹介します。
仕事でのルーティン化
まずは仕事の場で有効で役に立つルーティンを紹介します。
スタートの第一歩をルーティン化する
職場に来てまず最初に行う行動をルーティン化すれば、仕事にスムーズに入れます。
たとえば、パソコンを起動したときにまず最初に立ち上げるソフトを決めておく、などです。
それはメールソフトかもしれませんし、スケジュール管理用のファイルかもしれません。
迷わず行うために、そのデスクトップ上のアイコンを他のアイコンとは離れた、目につきやすい場所に置いておくと良いでしょう。
もし朝一番で立ち上げたいソフトのアイコンが他の多くのアイコンの中に埋もれている場合、そのアイコンを探すのが難しいだけではなく、ほかのアイコンに目がいってしまいます。
特にウェブブラウザーのアイコンに目がいくとついついそれを立ち上げてしまい、ニュースなどを見てネットサーフィンが止まらなくなる…という危険があります。こうなってしまうと、仕事にスムーズに入れませんよね。
その他には、出社したらまずデスクの上を決められた順番に掃除するなどといったルーティンもあります。
仕事の終わりもルーティン化し、次の日に備える
仕事が終わるタイミングで行うルーティンもあります。
次の日の仕事の内容をメモしておくことです。
これをしておくと、先ほど紹介したスタートの第一歩のルーティンが終わったあとの次の行動として、スムーズに仕事に取り掛かれます。
もし前日にこのメモを取らずに次の日に仕事に入った場合、「えーっと、次の仕事はなんだったかな…?」と考えたり迷ったりする状態が発生し仕事の流れが悪くなってしまうので、前日のうちにメモを取っておくことをおすすめします。
ルーティン化で脳を使う仕事と使わない仕事を分けてメリハリを持たせる
朝一番に取り組むルーティンで心も体も仕事モードの軌道に乗ったら、ルーティンから離れて脳を使う仕事に取り掛かりましょう。
頭が冴えている午前中のうちに、ルーティン化できない思考や決断を必要とし、脳の活動をフル回転させる仕事を進めます。
そして脳の活動が低下する昼食後にルーティン化された作業や、脳をあまり使わない流れ作業的な仕事を入れると、脳の活動に合わせた効果的でメリハリのある仕事ができます。
生活でのルーティン化
つぎに、普段の生活の中で取り入れたいルーティンです。
朝起きてからの行動をルーティン化
仕事と同じく、普段の生活でも一日のスタートでスムーズに動けるかどうかが大事です。
それが、起床してからの行動です。
朝起きてまず行う行動をルーティン化すれば、目が覚めても布団やベッドの中でだらだらと過ごさずに起床ができます。
起きた後に洗面所に向かい顔を洗い、キッチンに移って水を飲み、朝ごはんの支度をしながらお弁当を作る…というかたちで、一連の流れを決めておくと、迷ったり動きが止まることなくルーティンの中で必要なことがどんどんと片付き、寝起きでぼーっとしていた頭もどんどんクリアな状態になってきます。
また、オバマ前大統領のように服装を選ぶ行動もルーティン化しておけば、そこで迷わず時間を無駄にしません。
これらのルーティン化で時間に余裕ができ、出勤前にバタバタすることがなくなります。
なお、ルーティンに入る前や最中でテレビをつけてしまうと、そこに釘付けになって次の行動に移れなくなるので注意しましょう。
夕食後の行動をルーティン化する
「今夜は帰ってから勉強をしよう!」と意気込んでもいざそのときになってみると「やっぱりもういいや」となってしまうことはありませんか?
そういうときは、夕食後の行動をルーティン化するのをおすすめします。
夕食を食べた後、そのままテレビやスマホを見てそのままダラダラと過ごしていくうちに体がリラックスモードに入ってしまい、したかったことができなくなってしまうのを防ぐためです。
具体的には、食べたあとにあまり時間を置かずに席を立ち、一気に片付けてしまいましょう。
そしてその勢いで、しようと計画していたことに着手をします。
着手しやすいように、食事に入る前にそのセッティングをしておくとよいでしょう。
いったんリラックスしてしまうと次の行動に移りづらくなるので、このようにどんどん行動を連鎖させていきます。
そのために、簡単に行動できるルーティンを用意しておくのが有効です。
ルーティン化の注意点
このように、ルーティン化により仕事や生活の充実度が格段にアップしますが、ルーティンを取り入れる際には次のことに注意しましょう。
必要に応じ、ルーティンの内容を更新する
たとえば「毎朝腕立て伏せを20回する」というルーティンを取り入れたとします。
最初のうちは筋力が追い付かずに苦労していたのに、長い期間続けているうちに筋力も上がり20回という回数が物足りなく感じるようになりました。
それでも、「20回と決めたルーティンだから」と、回数を変えずに続けてしまうのはもったいないです。
そのときは、「20回から30回にする」もしくは「夜にも20回をもう1セットする」というように、ルーティンを今の自分に合ったより充実した内容に更新して、さらなる自分の成長につなげましょう。
ルーティン化に向いていないものもある
ルーティン化をすると、それによる行動は流れ作業のようになります。
もし、書類のチェック作業をルーティン化して流れ作業のように取り組んでしまうと、思考が少なく単調なものとなり、重要なチェックすべき個所や誤った記載を見逃しやすくなります。
そのような人間の目でチェックして判断をすることが必要な作業はルーティン化には向いていません。
思考や判断・決定を要するものは、ルーティン化せずひとつひとつ丁寧に取り組みましょう。
ルーティンの意図を意識する
ルーティン化された行動は、特になにかを考えずに行うものがほとんどですが、「なぜそのルーティンを取り入れているのか」ということも意識してみましょう。
仕事やスポーツのスキルアップの方法として、有名人や会社の先輩などのルーティンを真似るという方法があります。
ここで、ただ真似るだけではなく、「なぜこの人はこのルーティンをするのだろう?」というところにも意識してみましょう。
「最高のパフォーマンスを発揮するため」、「仕事にスムーズに取り掛かるため」、「気持ちを切り替えるため」など、ルーティンにはそれぞれなんらかの意図があります。
その意図を知ることで、動作だけではなく考え方も、その真似る対象の人に近づくことができます。
最後に
今回はルーティン化とその効果、取り入れ方を紹介しました。
スポーツ選手や有名人も明確な意図のあるルーティンを取り入れ、プレーや仕事に臨んでいます。
あらかじめ決められたことを行うだけなので、余計な思考や迷い、決断の数を減らすことができ、脳のエネルギーを温存できます。
そして、ほかの重要な思考や決断を要する仕事や生活の場面に脳のエネルギーを使うことができます。
わたしたちもルーティンを仕事や生活に取り入れ、メリハリのある充実した日々を楽しみましょう!